お嬢へ

 もう鬼兵隊の船にいるわけじゃねぇから、今更手紙ってのもおかしいとは思うんだが、一通お嬢に返事を返してない手紙があったから返信を書いてる。不要なら捨ててくれてもいい。

 とりあえず手紙ずっと送ってくれて有難う。正直筆まめな方じゃねぇから、いっつも待たせてたんじゃないかと思う。悪い。
 けど、お嬢から来る手紙は割りと楽しみにしてた。
 万斉の野郎とどこぞに出かけたとか、高杉の野郎とこんな事をしたとか、そんな手紙が多かったが、お嬢が何を見て何を喜んだのか知るのは楽しかった。

 なんつーか、今だにお嬢が俺の所に来たのは本当に良かったのかって思うこともある。今は楽しいか?不満はねぇか?俺と一緒で良かったのか?
 お嬢が俺を選んでくれたことは嬉しい。けど、俺がお嬢から貰ってる分、ちゃんと返せてるのか心配になることが正直ある。
 俺は夜兎だから、多分、どこぞで戦って死ぬこともある。そん時は、神威にもいってあるが、万斉の野郎の所に帰ってくれて構わない。できるだけ努力はするが、帰れない事もあるということを知っておいて欲しい。けど、お嬢を死なせる事だけは、絶対にするつもりはない。だから、お嬢も、仕事だからといって無理はしなくていい。お嬢に死なれたら、多分俺も駄目になる気がする。

 なんか、辛気臭い事書いてんな。
 まぁ、あれだ。お嬢とは育ちも性別も違うから、多分俺が気が付かない不満とかも溜まるんじゃねぇかと思う。そん時は遠慮なく言ってくて。前向きに検討する。全部叶えてやれる自信は正直ねぇ。悪い。そのへんは万斉ほど器用じゃねぇんだ。

 とりあえず、お嬢が約束通り俺の所に来てくれたから、俺もできるだけお嬢との約束は守っていく。
 だから、傍にいてくれ。

 そろそろ自分でも何を書いてんのかわかんなくなってきたから、この辺にしとく。そんじゃな。

阿伏兎

追伸*難しい漢字や、意味がわからない語句は自分で辞書を引くこと。間違っても神威に聞きに行かないように。

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