*白昼夢弐*
食後のお茶を飲みながら、セイバーはチラチラと片付けをするアーチャーに視線を送る。今日は家主であるマスターは学校に行っているし、他のサーヴァントもバイトに行っている。久し振りの二人っきりなのだ。
セイバーのそわそわした様子に気がつかないのか、アーチャーは洗い物を片付けてしまうと、次の家事にとりかかろうとしたので、セイバーは慌てた様子でそれを制止した。
「アーチャー!」
「どうした?セイバー」
一寸驚いた様な顔をしたアーチャーであったが、手を止めてセイバーに視線を送った。それに対しセイバーは小さく咳払いをすると、言葉を切り出した。
「その、紅茶を淹れて頂けませんか?あと……朝から家事をしてばかりで貴方も疲れたのではありませんか?」
彼女の言葉にアーチャーは目を丸くしたが、淡く笑うと、そんなにヤワではないよ、と言葉を零す。しかし、その返答にセイバーが酷く残念そうな顔をしたので、彼女の気遣いを汲んで一緒にお茶をする事にした。
二人分のカップをアーチャーが準備し始めたので、セイバーは満足そうにコクコクと頷くと、彼女も何やら棚の奥から小さな硝子瓶を取り出した。
見覚えのないその硝子瓶に湯を沸かしていたアーチャーは首を傾げ、それは?と短くセイバーに聞く。
「砂糖です。頂き物ですが使ってみようと思いまして」
セイバーの手の中にある硝子瓶には、淡い色がつけられた、可愛らしい小さな塊が入っていた。それを嬉しそうに手に取る姿を見て、アーチャーは思わず口元を緩める。
カップの琥珀色の液体を眺め、セイバーはアーチャーに淡く笑いかけると、お裾分けです、と言葉を放ち、淡いピンク色の小さな塊を彼の紅茶に投入した。
いつもなら何も入れないアーチャーであったが、セイバーの様子を眺めていたら、たまには良いかという気分になり淡く笑う。それにセイバーは嬉しそうに瞳を細めると、自分の紅茶には淡いブルーの塊を投入し、口をつける。
砂糖の甘味は自己主張しすぎることなく紅茶に溶けており、セイバーは満足気に温かい液体を流し込むと、ちらりとアーチャーに視線を送った。それに気が付き、アーチャーが、どうしたのかね?と短く言葉を放ったので、セイバーは慌てて首を振る。
「その……ですね。最近疲れてませんか?」
「はぁ?」
驚いたような顔をアーチャーが作ったので、セイバーは心配そうな顔をして言葉を続けた。
「魔力はほぼ自前だと聞いています」
「あぁ。不便はないよ。そうそう宝具展開することもない」
元々弓兵は燃費がいい上に単独行動持ちである。遠坂凛を依り代として現界しているアーチャーであるが、今の所不便はないらしい。それにセイバーはホッとしたような表情を作り、瞳を細めた。
「魔力不足が辛いのは私もよく分かります。困ったことがあれば言って下さい」
セイバーの言葉にアーチャーは咽喉で笑うと、そうだな、と言葉を零し、セイバーの身体を引き寄せた。
「アーチャー!?」
「では遠慮無くお裾分けをしてもらおうか」
驚いたようにアーチャーを見上げるセイバーであったが、恐る恐ると言ったように唇を重ねる。温かい魔力の流れ。己の鞘が彼の中にある。それを感じながら、セイバーは知らず知らずのうちに身体を更にアーチャーに寄せていった。
「……ん……」
角度を変え何度も口づけを交わすが、物足りなくなったのか、アーチャーは唇を離すと、セイバーの白い首筋にキスを落とす。ビクリとセイバーの身体が強張ったのに気が付き、彼は咽喉で笑うと、厭かね?と短く聞いた。
その言い方はズルい、そう思いながら、セイバーは小さく首を振る。それを確認すると、アーチャーは服の上からセイバーの胸を撫でる。
「アーチャーッ!胸は……その……」
余り触っても楽しくないだろう、セイバーが言いかけると、アーチャーは瞳を細めて笑った。その顔が昔の彼と重なり、セイバーは何も言えなくなる。マスターとサーヴァントとして身体を重ねた事もあった。けれど、その度に自分の身体がもう少し女性らしいものならばと思うこともセイバーはあったのだ。けれど、彼はそれを気にした素振りもなく、ただ、大事に抱いてくれた。
「私は好きだがね」
「!」
驚いたようなセイバーの顔を眺めて、アーチャーはまたセイバーの唇を貪る。そして、彼女の服のリボンを外し、ボタンに指をかける。直に触れられる緊張と、心地よさに、セイバーはどんな顔をしていいのか解らず、恥ずかしそうに顔を背けた。
アーチャーの唇が緩やかな曲線をなぞり、膨らみに到達する。下着越しに触れられるのがもどかしくなって、セイバーは潤んだ瞳で言葉を零す。
「アーチャー……余りいじわるをしないで下さい……」
「……って聞いてるの?セイバー!」
「はい!」
ピシっと背筋を伸ばしたセイバーを眺め、寺の魔女こと、キャスターは呆れ気味にため息を零した。
「サーヴァントだとダイレクトに作用するから、多用はしないこと。まぁ、坊やだったら大丈夫だけど、貴方も使うの?」
そう言われたセイバーは硝子瓶を握りしめて、こくこくと頷いた。うっかり妄想の世界に浸ってしまったが、念願の催淫剤と手に入れたセイバーはホクホク顔である。キャスターに頭を下げるのは癪だったが、この際手段は選んでられない。先日発覚したライダーのつまみ食いにセイバーは怒り狂った次第なのだが、自分も負けていられないとあれこれと彼女なりに頑張ってはみた。けれども結果は芳しくなく、駄目元で魔女の所を訪れたのだ。
「は?シロウですか?」
「……他に誰と使うの?」
「アーチャーです」
「は?」
キリッと言い切ったセイバーを見て、キャスターはしまった、と言うような顔を作った。てっきりマスターとの魔力供給に使うのだと引き受けのだ。しかしながら、今更返せとも言えずに、心の中でアーチャーに詫びる。既にセイバーのふりふり衣装写真を散々撮りまくった後なのだ。金銭的報酬の支払えないセイバーが唯一払えるのは己の身体のみ。涙を飲んでキャスターのきせかえ人形になり、念願の催淫剤を手に入れたのだ。
「……そうね……多用……しないでね。魔力の方に溶けるから……えっと……」
お互いに盛り上がるようにと魔力の方に溶ける特別仕様で作ったのだが、サーヴァント同士の魔力交換になるとどの程度威力を発揮するのかと、些か不安になったキャスターは小声で一応の注意をする。
「はい。アーチャーの方に飲ませればいいのですね」
「性的興奮を促す様に作ってあるから。場所とか……一応……考えて使ってね」
士郎相手ならば向こうの合意もあって使うのだろうが、相手がアーチャーとなると恐らくこっそり使う形になるのだろう。お茶などに混ぜやすい様に砂糖を模して作ってみたのだが、うっかり食後、人のいる場所で使われたらたまらない、とキャスターは心配そうに言葉を零した。
「では昼間人の少ない時に」
「……そう、昼間から……」
余りにも堂々とした態度に何も言う事が出来ずに、キャスターはオウム返しのように彼女の言葉を繰り返す。
「では。結果報告などは必要ですか?こう、改良する参考にするのなら」
「……いらない……」
俯きながらキャスターはポツリとそう返事をした。
丁度お昼ごはんに間に合ったセイバーは、美味しくアーチャーの作った昼食を平らげる。平日の昼間は人の少ない衛宮邸。ライダーもバイトに行っているようであるし、ランサーも今日は来ていない。これは好機!とセイバーは、シュミレーション通り、アーチャーを食後のお茶に誘った。
「……そうだな。たまには」
上手く行った。恐ろしく上手く行ったのだ。砂糖も予定通り無事にアーチャーの紅茶に投入したし、彼もそれを怪しむ様子もなく飲み干した。しかしながら、一向に変化らしい変化が起こらなかったのだ。そわそわとしだしたセイバーを眺め、アーチャーは首をかしげる。
「どうした?」
「え?あ、いえ……」
まさか、ムラムラしませんか?とは聞けずにセイバーが口を濁すと、アーチャーはカップの底に残った紅茶を飲み干して、洗い物をしに台所へ向かってしまった。それを情けない顔で見送ったセイバーは、俯き、キャスターの説明を思い返す。量が少なかったのか。しかし多用はしない方が良いと言われたし、比較的早く効果は出ると言っていた筈だ。このままライダーが帰ってきてしまい、彼女がいる時に効力が発揮されてしまったらそれは困る。難しい顔をして悩むセイバーを眺め、アーチャーは不思議そうに首を傾げたが、口を開く。
「セイバー」
「はい!何ですか!」
さっきまでの難しい顔はどこに行ったのか、期待に満ち溢れた表情を向けられ、アーチャーは面食らう。しかし、彼はなんという事はないように、口を開いた。
「午後の予定は何かあるかね?」
「いえ!ありません!暇です!ずっと暇です!」
これは来たか!とわくわくとしたような表情をセイバーが作ると、アーチャーはそれに気が付かないのか、カップを棚に戻しながら言葉を続けた。
「久々に手合わせ願いたいんだが」
「はい喜ん……え?手合わせ?」
「少し身体を動かしたい気分なんだが」
ぽかんとしたような表情を作ったセイバーに、アーチャーは、そんなに驚くような事かと言わんばかりに、首をかしげる。
「……わかりました。いくらでもお付き合いします」
「感謝する」
嬉しそうなアーチャーの顔を見たセイバーは、それに驚いて、恥ずかしそうに笑った。
そして場所を変えた二人は衛宮邸の道場でお互いに竹刀を持って対峙する。防具はなく、服装も普段着のままである。竹刀で殴られた程度でサーヴァントは怪我をすることもない。
長い時間睨み合っていた二人であったが、アーチャーが床を蹴り間合いを一気に詰めた。
向けられた竹刀をセイバーは弾き返すと、バックステップで距離を取る。アーチャーは干将莫耶を愛用しているせいか、相手の懐に一気に踏み込んで来た。無論セイバーとて、約束された勝利の剣と間合いならばある程度は返す自信はあるが、あのような急激な間合いの詰められ方はどちらかと言えば慣れておらず、できるだけ距離を取るように下がっていく。
「思い切りがいいですね」
「下がっていても君から一本は取れまい」
嘗て彼を何度もこの床に這いつくばらせた事もあった。その度に立ち上がり、食らいつくようにまた竹刀を振るう。その彼が己と対等の立ち会いをしている。サーヴァントとしてのアーチャーの戦いを何度も見ているというのに、不思議とこうやって己と対峙する彼を見て昔のことを思い出したセイバーは、少しだけ嬉しそうに口端を歪めると、一気に間合いを詰めた。
それにアーチャーは驚いた様子を見せることなく、軽く躱すと、セイバーの竹刀を弾く様に跳ねあげた。
「!」
慌ててセイバーは下がり、再度竹刀を握り直す。そして、彼の表情を見て思わず瞳を見開いた。
いつものシニカルな笑いではなく、クランの猛犬がよく見せる、戦うのが楽しくて仕方ない、というような表情。今まで見ることのなかったその顔に、セイバーの肌は泡立つ。己も、彼も、必要に駆られて剣を取ったクチである。ランサーのように戦うために戦うのではない。アーチャーは獰猛な笑いを浮かべ、セイバーのを見据えると間髪入れずにまた踏み込んで来る。
慌ててアーチャーの竹刀を弾くが、直ぐに切り返して彼は距離を詰めてくる。
追われる。追われる。
自然とセイバーも笑いがこみ上げてくる。いつしか対等になっていた。それが嬉しかった。そして、よくぞここまで上り詰めた、そう思ったのだ。決して剣の才能があったわけではない。愚直なまでの努力で彼はここまで上り詰めた。しかし、それがセイバーには少し悲しくもあった。その真っ直ぐさ故に彼は理想に裏切られてイビツに歪んだのだ。
「あ!」
ほんの一瞬、セイバーの気が逸れたのを見逃さずアーチャーがセイバーの竹刀を大きく弾く。今まで以上の力を加えられ、セイバーは思わず竹刀を放してしまう。そしてがら空きになった急所。
下がらなければ!そう思ったが、背中に大きく衝撃が走り、セイバーはいつの間にか自分が壁際に追い詰められていた事に気が付き、アーチャーに視線を送る。
心臓を狙う一撃必殺を思わせる突き。
思わず顔をセイバーが伏せると、ぽすん、と軽い衝撃が彼女の左胸に当たる。
「その心臓貰い受けた」
驚いて顔を上げると、いつものシニカルな笑いを浮かべたアーチャーが竹刀を引く所であった。
「……参りました」
「そうか」
どこか満足気なアーチャーの顔を見ると、セイバーは転がった自分の竹刀を拾い上げて困ったように笑った。
「実戦なら心臓を抉られていましたね」
「どうだろうな。竹刀ほど軽く振れる武器も少ないし、軽ければランサーのように一撃必殺とまではいかんよ」
咽喉で笑ったアーチャーを見て、セイバーは短く、けれど私の負けです、と笑った。
「強くなりましたね」
屈託なく嬉しそうに笑ったセイバーを見て、アーチャーは驚いたような顔を一瞬作ったが、直ぐに照れたように笑った。
「おー、俺も混ぜろよー」
道場の入り口から声がかかり、二人が振り向くと、そこには袋を抱えたランサーが立っており、ヘラヘラと笑いを浮かべている。普段ならランサーが絡んでくることに嫌そうな顔をするアーチャーであったが、今日はどういうわけか、諒解した、と己の竹刀を投げる。
「すまないがセイバー、竹刀を」
そう云われ、慌ててセイバーは己の竹刀をアーチャーに手渡す。するとランサーは嬉しそうに笑い、ほてほてと道場内に入ってくると、セイバーに袋を渡した。
「土産」
中にはまだ温かい大判焼きが入っており、思わずセイバーはゴクリと唾を飲み込む。昼食は食べた所だが、甘いモノは別腹と言うことだろう。その様子を見たアーチャーは、先に食べるといい、と笑いランサーと向き合った。
「道場の修理が面倒だ、宝具はなしで構わんな」
「いっそのことアインツベルンの森辺り借りるか?」
冗談交じりにランサーが言うと、アーチャーは少し考え込んだ後、それもいいかもしれんな、と大真面目に言う。それに驚いたのは言い出しっぺのランサーの方である。
「オイオイ。どーしたんだ?ストレス溜まってんのか?」
「……どうだろうな。今日は少々体を動かしたい気分だ」
するとランサーは笑い出し、そんじゃ焦らすのもなんだな、さっさと始めようぜ、と赤い瞳を細めた。
結局アーチャーとランサーは夕方まで打ち合い、帰ってきた衛宮士郎や遠坂凛を呆れさせた。その上、疲れた、とアーチャーは夕食の支度を士郎に丸投げすると、さっさと寝床へ戻ってしまったのだ。
「……よっぽどストレス溜まってたんだな……」
やや呆れ気味のランサーの呟きに、セイバーは、ひたすら首を捻る。結局キャスターからの催淫剤は全く効かなかったのだろうか。それすらも解らなかったのだ。そして試しに、セイバーは夕食まで食べたランサーの食後の紅茶に、件の砂糖をこっそり投入してみたのだ。元々マスター用だとキャスターが思い込んで作っていた様なので、サーヴァントには効きにくいのかもしれない疑いがあった。
しかし、結論から言うと、リン申し訳ありません、とセイバーは夜中に拝む羽目になった。
効いている。恐ろしく効いていた。一晩中ランサーの相手をさせられた凛が翌朝眠そうに食卓に現れた時は、思わず土下座したい気分にまでセイバーはなった。では何故アーチャーに効かなかったのだろうか。
首を傾げながら、セイバーは残った催淫剤を持って、寺をの魔女を訪れることにした。
「……まぁ、結論から言うと、ランサーは性行為で発散したけど、アーチャーは運動で発散させたんでしょうね」
「はぁ?」
一応ランサーには効いたのだが何故かアーチャーには効かなかったと言う報告を聞いたキャスターは、ため息混じりにそう言葉を零した。要するに、アーチャーは性的興奮を取り違えたのだろうと。
「運動も性行為もこうね、エンドルフィン……脳内麻薬が出やすいって意味では似たようなものなのよ。魔力に流した催淫効果をアーチャーは運動で全部満足させちゃったのかしらね。でも……ぷっ……目の前に女の子がいるのに……運動で発散って……」
最後の方は笑いをこらえながらキャスターが言うので、セイバーはむっとしたような表情を見せて口を開いた。
「調合方法が悪かったのではないですか?」
「あら、ランサーには効いたんでしょ」
それを言われると辛いと、セイバーは思わず視線を逸らした。そうなのだ、ランサーには恐ろしいほど効いたのだ。それが非常に残念でならないセイバーは思わず俯いた。
「……まぁ、元々どちらかと言えばアーチャーはランサーみたいにがつつくタイプじゃないしねぇ」
「慰めなど要りません!」
フォローするように放たれたキャスターの言葉に、思わずセイバーは涙目で声を上げる。がつつくタイプではないから薬に頼ったと言うのに、これも失敗であった事がセイバーはショックなのだろう。しかも、目の前に自分がいたと言うのに運動で発散など……やはり自分には魅力がないのだろうかと流石に落ち込む。ションボリしたセイバーを見て、キャスターはため息をついた。薬自体にはある程度自信はあったが、アーチャーがまさかそんな方向に行ってしまうとは思わなかったのだ。普通ならば手っ取り早く目の前の相手に飛びつく。けれど、そうしなかったのは、アーチャーがそうしたくなかったからなのではないか、とふとキャスターは思う。鉄壁の理性なのか、それとも、セイバーに対して己の劣情を知られたくなかったのか。
「……セイバー」
「何ですか?」
ぐしぐしの袖で涙を拭きながらセイバーが返事をすると、キャスターは困ったように笑った。
「正攻法で行きなさい。多分その方がいいわ。お互いのために」
驚いたようにセイバーはキャスターを眺めて、小さく頷く。
「そうですね。そうします。とりあえずお風呂でばったり作戦から実行してみる事にします」
「え?そうじゃなくてね、セイバー?」
「薬は効きませんでしたが貴方の協力には感謝します。では」
慌てて言葉を続けようとキャスターはしたが、あさっての方向に思考を切り替えたセイバーはさっさと部屋を出ていってしまう。それをぽかんと見送ったキャスターは思わず笑い出した。
「……莫迦ね。そんな事しなくても、アーチャーは貴方の事好きなのに」
大事にされているのだ。きっと。セイバーにはそれが解らないだけなのだと、キャスターは困ったように微笑んだ。
非常に残念な感じの騎士王
20121115